マイナンバーカードと健康保険証(2023年10月16日掲載 )
マイナンバーカードと健康保険証
定例議会初日に、議案の提案者である首長は、その概要を説明する前に、今、話題になっていることについて、所感を述べることが多いようです。私は、先の9月議会で冒頭、以下の通り、話しました。
「来年秋の健康保険証の廃止については、賛否が分かれております。このことについて、新聞社のアンケート用紙が7月、私にも届きましたが、『予定通り進めるべきだ』と回答したことは報道でもご承知かと存じます。」
「新聞社」というのは、全国の地方紙にニュースを提供している共同通信社です。その通信社から3日、アンケート結果がメールで届きました。主な内容は以下の通り1741市区町村長のうち、1466人が回答。
設問 来秋の保険証廃止についての受け止め
1予定通り健康保険証を廃止すべきだ 420人 29%
2保険証廃止を延期すべきだ 598人 41%
3保険証廃止を撤回すべきだ 34人 28%
4その他 414人 28%
当時の地元紙では、富山県内の市町村長で1と答えた者は、立山町長と富山市長の2名であり、3の「撤回すべきだ」と答えた者が1名であったなどと報道されましたが、ある首長さんは、「新聞を見て、アンケートのことに気が付いた。僕は1だ」と語っておられました。人口の多い自治体では、担当課(部)がアンケートの回答案を作成(起案)し、首長が決裁印を押すだけの提出というところが、少なくないのかもしれません。いずれにしても、予想していたほど少数派ではなかったと感じました。
私が、来年秋に予定通り、廃止すべきだと答えた理由は、議会本会議で以下のように説明しました。
「私は、マイナンバーカードと健康保険証を紐付けしてから、医療機関や調剤薬局では、健康保険証として、マイナバーカードを使っています。これにより、薬局でお薬手帳の提示を求められることがなくなりました。
ある遺品整理業者のホームページには、『一人暮らしだった高齢者宅の遺品を整理していると、大量の薬が出てきます』と紹介されていました。年齢を重ねると、身体のあちこちが不都合になってきます。そこで、複数の医療機関に通わざるを得ません。その結果、同じ成分の薬、重複した薬を処方してもらうことがあるのです。その結果、『タンスの中に薬が沢山見つかった』となるのです。
『いつもの薬、つまり、毎日飲んでいる薬が8種類以上という方が結構おられる』と聞いたことがあります。マイナ保険証を使えば、本人同意の下で、医療機関や薬局が薬剤情報を確認できるので、同じ成分の薬や飲み合わせのよくない薬を受けとることがなくなるのです。
ある報道番組によると、65歳以上で5種類服用している患者が1種類減薬した場合、医療費が5730億円も削減されるとのことでした。ちなみに、富山県の令和5年度の当初予算規模は6300億円です。
後期高齢者の約70%が窓口負担は1割となっています。例えば、2000円の薬であっても、本人負担は200円なので、なかには、薬をもったいないと思わない人もおられるかもしれません。しかし、残りの5割の1000円分は公費、つまり、税金で負担し、残り4割の800円分は、現役世代の保険料から支援金という形で負担しているのです。
つまり、マイナ保険証によって、高齢者の負担が減る以上に、現役世代の負担が減るのです。現在、富山県では、令和6年度からの医療費適正化計画を策定中ですが、これにしっかり取り組むべきだと、8月31日のワンチーム会議で発言したところです。」
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更新日:2023年10月16日