登山道維持管理費用捻出のための立山町長の案(2023年12月25日掲載 )
登山道維持管理費用捻出のための立山町長の案
令和5年12月1日の北日本新聞に、「登山道の補修や山岳環境の維持に役立てるため、富山県や環境省などは、立山黒部エリアで登山客から任意の入山協力金を募る制度の導入に向け、検討を進めている」という記事がありました。11月30日の県議会本会議で、武田県議の代表質問に対する廣島生活環境文化部長の答弁をもとにしたものです。これには、「人員や資金不足の解消の一助になるとして導入に肯定的な意見が多かったという」と書かれていましたが、私はもろ手を挙げて賛成しているわけではありません。
以前、「道標が朽ち果て、文字も見えない」と、立山周辺を登山された県外在住の方から、立山町の公式HPを通じて、苦情が寄せられました。しかし、当時、立山町が設置した道標はありません。道標の多くに薄っすらと「富山県・環境庁」と読めるものがあります。かつて、富山県が環境庁(環境省)の補助をもとに設置したか、あるいは、環境庁が費用を全額支出したが、工事の発注業務は富山県が行ったものかは存じませんが、苦情を放置することもできません。そのため、観光客の生命に関わることだからとして、毎年、1千万円の予算を投じて、登山道(標高2000m~3000mあたり)の道標の更新を行っています。財源は環境省の補助と町に寄せられたふるさと納税を活用しています。但し、町職員が現地調査、工事の発注業務、完成検査などを行うので、予算書には現れないところで、お金はかかっています。
苦情は道標だけではありません。枝や草が伸びすぎてしまい、人が歩けるような道ではない登山道もあります。町では県からの委託費に町一般財源を上乗せして、立山山荘組合に登山道の維持管理をお願いしていますが、すべての道をカバーできていません。また、人力だけでは対応できない箇所もあることから、この問題を県議会で取り上げられたのでしょう。なお、立山観光に関わる事業所や富山森林管理署、立山町などの負担金で運営している立山国有林野保護管理協議会(会長は立山町長)の予算で、歩くアルペンルートの一部を草刈りしていますが、予算に限りがあります。もちろん、環境省立山管理官事務所や県自然保護課、富山森林管理署のほか、立山町としても独自に除草や剪定を行っていますが、本来の公務の合間なので、時間的な制約もあります。(町道の維持管理は建設課、町が整備した林道は農林課が所管していますが、町所管の登山道はありません。)
そこで、環境省の担当者が、少しでも予算の足しになればと、募金を始めたらどうかと提案されているのです。この件で、町にアンケートが届いたので、以下のように回答しました。(一部、追記※)
中部山岳国立公園 利用者負担制度導入に対する 立山町長の意見
平坦地に、国道・県道・市町村道・私道・その他(集落が管理している道)があるように、
現在、利用されている登山道について、その管理責任団体を、
【1】国 【2】県 【3】市町 【4】個人 【5】管理者不明に仕分けすること。
その上で、
【1】国直轄の登山道については、国の責任において維持管理。
【2】県の登山道については、県の責任において維持管理。もちろん、維持・修繕費の財源については、環境省の自然環境整備交付金(1/2補助)を活用すればよい。
【3】市町(が整備した登山道の存在は承知していないが、あるとすれば)の登山道については、市町の責任において維持管理する。もちろん、修繕や整備費については、環境省の自然環境整備交付金(1/2補助)を活用すればよい。
【5】については、国・県・市町の協議により、帰属先を決定する。
国の補助があるとは言え、事業費の1/2をねん出することは、県や市町の財政にとっては厳しい。ちなみに、県道や市町村道は、延長距離に応じて、地方交付税措置(※基準財政需要額に算入)があるが、登山道には(こうした措置が)ないので、先般も、全国観光地所在町村協議会(立山町長は副会長)として、国(環境省、総務省)に要望したところである。
そのため、
県、市町村それぞれが、知恵をしぼって財源確保に取り組めばよい。
例)入山税(駐車場の有料化など)、ふるさと納税
※追記分(理由 登山者から協力金を募るための負担(コスト)が大きい。長続きしない。山岳トイレにチップ箱が設置してあるが、誰も見ていないと入れない人もいる。そもそも100円では足りない。)
国におかれては、直轄道の整備・維持費はもちろんのこと、地方自治体からの交付金要望に、十分に対応できるよう、予算の確保に努めてもらいたい。
例)旅客税の使途の拡大
以上
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更新日:2023年12月25日