2010年4月6日町長コラム
「和顔愛語」 2010年4月6日掲載
新年度がスタートした4月1日は、役場の新人職員や異動した職員に対する辞令交付式をはじめ、いろいろな団体の委嘱状交付式が庁舎内で行われました。交通指導員さんに対しては、上市警察署で委任状交付式が行われました。
会場となっていた3階の講堂には、「和顔愛語」と書かれた書が掲げられています。辞書には、「わがんあいご = 和やかで温和な顔つきや言葉つき。穏やかで、親しみやすい振る舞いのこと。」とありましたが、もとの意味は仏教からきているようです。
宗教でお布施と言えば、金品を寄付する(財施)ことが思い浮かびますが、お金や物を持たない人でも布施行ができるようにと、ほかに6つの布施があるそうです。その6つの中の2つ、和顔悦色施(わがんえつしきせ = やわらかな顔が人に喜びを与え良い人間関係に導く)と言辞施(ごんじせ = 優しい暖かい言葉で語りかける)を合わせたものだとものの本に書いてありました。「わげんあいご」とも読むそうです。
警察署の講堂という場所柄、掲げられている言葉は厳しいものというイメージがありましたが、このようにやさしく穏やかな言葉が掲げられているのを見ると、思い出したことがあります。
私が高校生のとき、毎日富山市針原までの10キロメートル弱の道のりを自転車で通っていました。高校生で体力もあったはずですが、さすがに学校近くになってくると、少々くたびれてきます。そこへ、交差点で交通指導にあたっていたお巡りさんから、「おはよう」と声をかけられました。毎日のことですから、お互い顔なじみになってきます。そのうち、私のほうから先に声をかけるようになりました。家庭や学校のことで悩み事も多い高校生にとって、お巡りさんの笑顔は毎朝の元気の源でした。今でもあの笑顔を思い出すと、胸が温かくなります。
今日から15日までは、「春の全国交通安全運動」期間です。今朝、町内全域で、交通指導員、交通安全協会、そして交通安全母の会の皆さんが、入学式を迎えた小学生や自転車の中高校生に明るく声をかけながら、街頭指導にあたっておられました。「和顔愛語」の心で、交通安全だけでなく、子どもたちの心も温かくしてくれる皆さんに感謝したいと思います。
更新日:2021年06月01日