2010年8月6日町長コラム

更新日:2021年06月01日

戦没者追悼平和祈念式 式辞 2010年8月6日掲載

 ここに、平成二十二年度立山町戦没者追悼平和祈念式を挙行するにあたり、謹んで追悼の辞をささげます。
 終戦から六十五年になりますが、この暑い夏を迎えるたびに、あの悲惨な戦争がなぜ起きてしまったのか、多くの犠牲者を出すまで、どうして長く続かせてしまったのかと、一人の日本人として、悔やまれてならないのであります。
 祖国の繁栄と家族の幸福を願いつつ、尊い命を捧げられました多くの方々も、それぞれに夢があったはずです。それが絶たれた無念さと、愛する人を失った方々の深い悲しみを察すると、私は胸が潰れる思いであります。
 今日の日本は、こうした戦没者の方々とそのご家族の尊い犠牲の上に、築かれていることを我々は決して忘れてはならないのです。
 同時に、少数の指導者たちの判断によって、多くの日本人のみならず、近隣諸国の人々にも耐え難い苦しみを与えたことに、怒りを禁じ得ないのであります。
 今ここに、戦争で犠牲になったすべての人に深い祈りを捧げます。
 特に、ご遺族の皆様には、最愛の肉親を亡くされた深い悲しみに暮れる間もなく、戦後の混乱と窮乏の中、立派に子弟を育てあげられたそのご苦労は並大抵のものではなかったものと拝察いたします。また、そうした家族を支えてこられたご子弟の皆様にも深く敬意を表するものでございます。
 本日は、広島に原爆が投下された日であります。
 今朝の平和祈念式では、国連のパン・ギムン事務総長をはじめ、複数の核保有国の大使も出席されるなど、核兵器廃絶に向けての気運が高まりつつあります。
 しかしながら、今なお世界各地で紛争やテロが後を絶たず、罪も無い人々が犠牲になっております。核拡散防止条約体制に反する国も存在し、我々の生存を脅かしているのも事実でおります。
 だからこそ、戦争を正当化しようとする動きに素早く反応し、いかなる争いも事前に回避できるようにと国際社会の中で粘り強く働きかけていく。
これこそが、唯一の被爆国であり、先の大戦による尊い犠牲のもとに築かれた今日の平和を享受している我々日本人の使命なのであります。
 さて、戦後、わが国は幾多の苦難と試練を乗り越え、発展してまいりましたが、人類史上例を見ない、急激な少子高齢化による人口減少期に突入したことによって、社会の構造そのものの転換が迫られております。私は、こうした環境の変化を乗り越えるべく、不断の改革に努め、ご遺族をはじめとする高齢者の皆様の不安の要因となるものを、ひとつひとつ、取り除くことに邁進する決意でございます。
 おわりに、戦没者の御霊がとこしえに安らかならんこと、ふるさと立山町の限りない発展と、町民の皆様のより一層の幸せを念じ、あわせて、今日の式典に参列されたご遺族、関係各位のご多幸をお祈りいたしまして、私の式辞といたします。

平成22年8月6日
立山町長 舟橋 貴之

 戦争から65年が経過し、ご出席いただいたご遺族の皆様にも、遺児あるいはお嫁さんの姿が目立つようになりました。だんだん出席者も減っていくのかもしれません。
 しかしながら、いかなる戦争も引き起こしてはならないという決意を新たにするためにも、立山町としてこの平和祈念式を継続してまいりたいと思っております。

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