2011年1月5日町長コラム
「うさぎとかめ」 2011年1月5日掲載
新年おめでとうございます。
昨年はいいことがなかったと誰もが口にするほど、やりきれないニュースばかりが続きました。しかし、今年こそはと皆さんは新年を迎えておられるかと思います。
さて、今年はうさぎ年ですね。うさぎにちなんだ童話と言えば、いなばの白うさぎ、カチカチ山などありますが、童謡にもなっている「うさぎとかめ」のストーリーはどなたもご存じかと思います。
「もしもし かめよ かめさんよ せかいのうちで おまえほど あゆみの のろい ものはない どうして そんなに のろいのか」
実は、もとはイソップの寓話からだそうです。
私は、いまの日本は、この「うさぎ」ではないかと思っています。
1968年に西ドイツを抜いて世界第2位の経済大国になって40年余りですが、いまや、中国に抜かれ、電化製品のMADE IN JAPANは世界のトップの象徴でしたが、いまや日本3大メーカー(日立、パナソニック、ソニー)がそろっても韓国サムスン電子に及ばないという現実に愕然としました。
国内では、バブル崩壊以来20年間の経済無策を嘆く声が国内で充満しています。しかし、原因は果たしてそれだけでしょうか?
年末、NHKでは司馬遼太郎の「坂の上の雲」を観ました。今年の12月の放送が、今から待ち遠しい限りです。
さて、この物語は、1867年の江戸幕府大政奉還からわずか40年弱で、日本がロシアと戦い、欧米列強の仲間入りを果たすまでを描いています。
第2次世界大戦後の奇跡的な経済成長を遂げたこともそうですが、その勤勉性によるものだと世界から称賛されてきたのが日本国民です。しかし、現役の日本国民、少なくとも、私の世代が日本経済を成長させてきたと言い切ることはできません。生まれたときから社会は豊かでしたが、その豊かさを支える努力が足りなかったのです。
いま、私に何ができるか? 昨年の12月議会では、教育問題に関する一般質問に対して、「国土が狭く、これと言った資源のない日本が奇跡的な成長を成しえたのは、一にも二にも人材であったと思います。この人材を育成、つまり、教育でもって世界の一番を目指すという教育立国こそが、日本の未来を明るくする最大の手段。基礎学力、全体的な学力の底上げを図ることによって、一人ひとりの人生を豊かなものとし、ひいては、「坂の上の雲」のように日本の成長に貢献したい。」と答弁しましたところです。
寓話「うさぎとかめ」では、ウサギが目を覚ましたときに見たものは、山の麓のゴールで大喜びするカメの姿でありましたが、人や国の歩みにゴールはないはずです。「兎の登り坂(注釈)」という言葉があります。うさぎは前足が短く、後足は長いので、下りは苦手ですが、坂を登ることは上手です。
いまこそ、ゴールを山のふもとに設定せず、頂上を目指して駆け上るときです。
(注釈)持ち前の力を振るうことができて、物事が早く進むたとえに使われます。
更新日:2021年06月01日