2011年3月18日町長コラム
東北関東大震災に対して 2011年3月18日掲載
このたびの東北関東大震災に対して、被災された方々に、心からのお見舞いとお悔やみを申し上げます。
さて、外国では、「日本は第2次世界大戦直後に匹敵する困難に直面している。」と報道されています。と同時に、「それにもかかわらず、地震発生後の日本人の秩序ある行動に敬服している。日本人の冷静さが世界に感動を与えている。」とも報道されています。
確かに、停電となったスーパーでも略奪は起こらないし、給水車にもきちんと並んでいる被災者をみて、外国人からは不思議に見えるのでしょう。
これは、今回の大震災に限ったことではないと思います。映画「劒岳 点の記」の原作者である新田次郎氏の幼少期のこと。火事場から小さな木片を拾ってきたところ、彼の父は、「火事場からはどんなものも持って来てはならない。
あった場所に戻して来い。他人が悲嘆に暮れているときに、物を取ってくるという火事場泥棒は最も恥ずべき行為だ。卑怯だ。」と教え諭したそうです。誰も見ていないかもしれないけれど、神様が見ている。自分自身が見ているのです。
かつては、「恥を知れ」という叱責の言葉をよく聞きました。
大震災が起きる前の日本は、子ども手当にはじまって、「これをタダにしろ、税金も減らせ」、という声が渦巻いていました。今、苦しいからと言って、借金をしながらお金を配る。孫の貯金箱に手を突っ込んで、「お小遣いだよ」と配るようなものです。「これ以上、次世代に負担を残していいのか? 自分だけがよければいいのか?」と、政治に関わる者として、恥ずかしく思っておりました。
そうした中での大震災です。テレビからは、助けを求める被災者の姿が目に飛び込んできます。想定外の大地震・大津波に加えて、原子力発電所問題、首都圏の停電という非常事態に政府首脳が四苦八苦している姿も見てとれます。かといって、一部のマスコミのように、「政府が悪い」、「政治家のリーダーシップがない」などと言うつもりはありません。
役場には「被災地の皆さんに何かしてあげたい」という声や、「立山町では物資を届けに行かないのか?」というお問い合わせもいただいています。しかし、ここは、冷静に行動しなければなりません。被災地の受け入れ態勢と物資の流通経路がしっかりしていないと、かえって、現地のスタッフに迷惑をかけることになりかねません。わが町は、政府の災害対策本部と直結している県と連携を密にして被災者救援に取り組んで参ります。
復興には数年かかります。長丁場です。戦後最大のダメージとなる日本経済ををはじめ、各方面で影響が出てくるでしょう。ここは、腹を据えて、町民と町が一体となった取り組みが求められています。どうか、町民各位のご理解とご協力をお願いします。
更新日:2021年06月01日