2012年2月22日町長コラム
忘れてはならない。日本人の美しい心 2012年2月22日掲載
昨年3.11の東日本大震災では、世界中の報道機関は、「地震発生直後の日本人の秩序ある行動に敬服している。日本人の冷静さが世界に感動を与えている。」と報じました。確かに、停電となったスーパーでも略奪は起こらず、やっと到着した給水車にもきちんと並んで待っている被災者をみて、外国人の目には不思議に映ったのです。海外ニュースでよく目にする食糧を奪い合うような暴動もありませんでした。寒風が吹き込む体育館で、他の人も大変だからと、毛布1枚で我慢していたおばあちゃんが亡くなってしまったという悲しい出来事も、後に報道されました。
被災者以外でも尊敬されるに値すべき日本人が多かったと思います。目に見えるボランティア活動はもとより小さな子どもからお年寄りまで、例え高額所得者といえども、そのお金を稼ぐのに数年はかかったであろう億単位の寄付をされた方もおられました。公務員とはいえ、命がけの人命救助や原発事故拡大防止に大活躍した無名のヒーローは大勢いたと思います。
昨年末、平成23年の漢字は、「絆」に決まったと報道されました。確かに、政治家やマスコミはよく使っていましたが、ただ単に、家庭や地域に絆があればと結論づけるのもしっくりいきません。お茶の水女子大学名誉教授で「国家の品格」の著者である藤原正彦氏は、このたびの震災で日本人に溢れるほどの「惻隠の情」があったと述べておられます。私はこの「惻隠の情」とは、他者の境遇を理解し、自分のこととして同情する心と理解しています。いま、自分を生かしているのは、決して目の前にいる家族や友人だけではなく、目には見えないものもあるけれど、何か(誰か)のお陰なのだと思う古来日本人の精神から来るものだと思います。
2月17日、富山地区広域圏事務組合では、本年10月から平成33年3月まで、南砺市の可燃ごみ(一般家庭ごみ)の一部を受け入れることが決まりました。砺波広域圏事務組合(南砺市と砺波市)で、2施設を統合した新焼却施設が稼働するまでです。近隣の高岡地区の焼却施設は老朽化し、現在、氷見市内で新施設建設が検討されている段階では、これを搬入することが難しいでしょう。搬入コスト(距離)がかかったとしても、富山地区に依頼せざるを得なかったという砺波広域圏の事情を察して、了解したところです。
いつ、立山町にも災害が起こり、クリーンセンターも休止することがあるかもしれません。困ったときはお互い様です。過度な見返りを求めるような醜いことはすべきでないと考えています。
ただし、周辺住民の皆様には、何かとご心配をお掛けしております。当施設は、ダイオキシン類をバグフィルター集塵装置などで取り除く最新鋭の設備です。これからも適正な管理と、定期的に大気や土壌調査を行うなど、安心していただけるよう努めてまいります。
更新日:2021年06月01日