2012年7月19日町長コラム
ラムサール条約登録湿地 私たちにできること 2012年7月19日掲載
7月7日、ルーマニアで開催された「第11回ラムサール条約締約国会議」に出席してきました。ラムサールとは、1971年にイランの保養都市ラムサールで採択されたことによります。前回は2008年に韓国で開催されました。
今回、日本からは立山弥陀ヶ原・大日平を含む9カ所が登録され、そのうち、5市町長が、事務局長のアナザ・ティエガ氏から直接、認定証をいただきました。
NHKの全国放送をはじめ、新聞各紙で報道されたので、ご覧になられた方も多いと思います。
さて、報道各社のそれぞれのインタビューでは、以下の通り答えてきました。
「事務局長から直接、認定証を手渡され、感激と同時に、責任の重さを改めて実感した。
それは、国際的に重要な湿地として認定されたわけだから、このままの状態で次世代へ繋いでいかねばならないという使命が、いまを生きる我々にあるということ。
しかし、地球温暖化が進む中、立山では、餓鬼の田と呼んでいる池塘が干上がらないようにすることだけでも容易なことではない。
この立山黒部アルペンルートは、全国に先駆けて、マイカーの乗り入れ規制を実施してきたところだが、さらにハードルを上げていく必要があると思っている。
また、世界で認定された湿地を見てみようという観光客の期待を裏切らないように、驚くような取り組みも必要だ。
例えば、粒子状物質(PM)の排出基準を超える観光バスは、乗り入れ禁止としたい。
6月下旬になっても雪の壁は10メートルを超えているが、さすがに排ガスのためか、真っ白だったはずの雪も黒く汚れてしまっている。雪は雪らしい色のままで融けることが自然のはずだ。県をはじめとする関係機関に強く要請していきたい。
また、この貴重な財産をまず、地元の人が認識することが重要だ。
県内の小中学校の校外学習のコースに取り入れてもらえるよう関係方面に働きかけるなど、できることから始めたい」と。
7月13日、立山町として、富山県に対する平成25年度分の重点事業要望書を知事に提出してきましたが、その際、「東京都をはじめとする一部自治体に乗り入れが禁止されている黒煙を撒き散らすようなバスは、立山有料道路の通行禁止を」と強調したところ、知事にも理解していただきました。
もちろん、いきなり条例で禁止というわけにはいかないでしょうから、「環境にやさしいバスに切り替えて」と全国のバス会社に周知していくことになると思います。
また、当日は、オリジナルフレーム切手「登録記念 立山コレクション」が県内の郵便局で一斉に発売されました。いろんな風景の80円切手が10枚で1200円です。
ところで、認定の決め手となった「餓鬼の田」と呼ばれる小さな池は、美女平・室堂の23キロメートル区間を走る定期バスからも眺めることができます。
この区間は、立山有料道路と県道富山立山公園線区間で構成されていますが、富士スバルラインのような愛称がありません。現在、富山県が公募しています。
ラムサール条約湿地に相応しい素敵な名前に決まることを期待しています。
更新日:2021年06月01日