2014年1月14日町長コラム

更新日:2021年06月01日

想像する力を 2014年1月14日掲載

 2011年3月、東日本大震災直後、インターネットで“つぶやいた”人がいます。
「停電すると、それを直す人がいて、断水すると、それを直す人がいて、原発で事故が起きると、それを直しに行く人がいる。勝手に復旧しているわけじゃない。俺らが室内でマダカーとか言っている間、クソ寒い中死ぬ気で頑張ってくれている人がいる。」(Pray For Japan日本のために祈る)

 雪国富山、この時期の心配事のひとつに道路除雪があります。長らく続いた公共事業の削減により土木業者が減少し、1業者、1台の除雪車が受け持つ道路の延長により、通勤時間帯までに終えることが難しくなっています。融雪装置に切り替えようにも、地下水量が十分でない地域も多くあるのです。
(河川水では雪は融けません)
 また、オペレーターの確保はさらに難しくなっています。明朝、雪が積もるかわからないので、夜中の2時には一度、起きなければなりません。出動とわかれば、真夜中に、さらに吹雪ともなれば真っ白で何も見えない中、恐怖と寒さに耐えながら、何時間も除雪車を動かすのです。住宅団地では雪の捨場がなく、「除雪のせいで自宅前に雪が溜まったじゃないか」と苦情もたびたびです。
 しかも、明るくなる前に終えなければならないので、大概、誰も見ていないし、誰からも感謝の言葉を掛けられることもありません。しかし、誰かがやってくれなければ、会社や学校の始業時間に間に合わないのです。こうした地味な仕事を引き受けてくれる人がいてくれるからこそ社会全体が回っているのです。
もちろん、地味な仕事は除雪作業だけではありません。民生委員や消防団、交通指導員など、何年もボランティアをされている方がおられます。誰かのために役立っている。感謝してくれている人がいるはずだと思える感性がないと続きません。反対に、誰かが頑張っている姿を直に見ることはないけれど、ネットの“つぶやき”のように、想像だけで感謝する感性がないと救われません。

 成人式おめでとうございます。この節目を機会に、例えば、関心事以外の新聞記事も読みこむなど、想像する力をつけて欲しいと思います。

 2014年1月
 立山町長 舟橋貴之

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