2014年9月22日町長コラム

更新日:2021年06月01日

危機管理と人事 ~東京都大島町を視察して考えたこと~ 2014年9月22日掲載

 9月3日、社団法人全国治水砂防協会主催による東京都大島町現地視察と討論会に参加しました。同町では、昨年10月の台風26号により死者行方不明者39名もの被害が出ており、今もまだ復旧工事の最中でした。

 崩壊地は、三原山の噴火による溶岩に覆われ、その上に浅い火山灰堆積層が表層となっており、ここに、24時間連続雨量が824ミリメートルともなれば、斜面崩壊がいつ起きても不思議でないことがわかります。にもかかわらず、法に基づく土砂災害警戒区域の指定、そして、土砂災害ハザードマップも作成されていませんでした。本年8月に豪雨災害があった広島市もそうでしたが、富山県とは違い、様々な事情があるのでしょう。

 災害後、マスコミから批判されたこと2点を記憶しています。
1点目は、大型台風がやってくることがわかっていたにも拘らず、町長、副町長二人とも島内にいなかったことです。これについては、大島町長も後悔されておられました。

 私はこれまでも有事の際には、私、または副町長のどちらかは、現場(役場庁舎)へすぐ駆けつけられるような体制(日程調整)を実践してきたつもりですが、引き続き、この体制は維持していきたいとの思いを新たにしました。

 2点目は、留守を預かっていたはずの町職員が、台風のピークを深夜になると見込み、夕方に一旦、全員が役場庁舎から離れてしまった(帰宅した)ことです。そのため、東京都からの土砂災害警戒情報などのファックスに気付くのが遅れてしまいました。
加えて、今回の視察で初めて知ったことですが、東京都大島支庁には東京都の職員およそ100名が常駐しており、災害時にも土木担当職員6名が大島支庁舎内に詰めていたのです。つまり、町と都の連携が十分にできていなかったことが窺(うかが)い知れます。

 立山町では、気象庁から大雨警報等が発令されると、総務課と建設課の職員のうち、その日の当番となっている者、それぞれ3~4名が役場庁舎に駆けつけ、パトロールなどの情報収集を経て、局地的な対応が必要と判断したときには、さらに応援を要請することになっています。

 近年は、局地的な豪雨が頻発し、年に何度も大雨警報が発令されています。そのためか、今夏の立山町職員採用面接試験では、副町長から「大雨になると、災害に備えて土のうの詰め作業といった体力が要求される仕事もあるけど、懸垂は何回できますか?」という質問もありました。私はそれも重要なことだろうけど、いざというときに真夜中であっても、役場にすぐ駆けつけてくれる職員を頼もしく思います。
立山町は富山市に隣接しているためか、近年、富山市在住の優秀な受験者が多くなっています。そのため、新規採用者の半数は町外在住者であり、また、女性も多く採用しています。さらに、採用時には立山町に住んでいたのに、その後、町外に引っ越してしまった職員もいます。

 もちろん、居住地の自由は憲法で保障されていることは承知しており、仕方のないことですが、風水害時において、第1非常配備(大雨警報など)となる総務課や建設課の人事に関しては、なるべく立山町、もしくは町に近い場所に居住している職員を優先して配属するように、先般、副町長に指示したところです。

 こうした取り組みを通じて、町職員の危機管理意識と災害対応能力を高めていかなければならないと考えています。

この記事に関するお問い合わせ先

企画政策課 秘書政策係

郵便番号:930-0292
富山県中新川郡立山町前沢2440番地 庁舎2階

電話:076-462-9105
お問い合わせはこちらから