2017年8月31日町長コラム

更新日:2021年06月01日

「立山黒部」世界ブランド化のために立山町ができることは その1 2017年8月31日掲載

 昨年度、富山県知事が出席される、「『立山黒部』の保全と利用を考える検討会(3回開催)」が設置され、立山町もオブザーバーとして参加しました。(立山町長は第3回目のみ出席)
 本年度は、「『立山黒部』世界ブランド化推進会議」と改組し、6月1日に東京都内で第1回目の会議が開催されました。会議では、黒部ルート(黒部峡谷鉄道欅平駅から黒部ダムまで)の旅行商品化を迫る富山県知事に対し、安全対策面から難色を示す関西電力株式会社の役員との激しい議論となり、翌日の新聞にも大きく取り上げられました。一方、委員である立山山荘組合理事長とオブザーバーである環境省長野自然環境事務所長の二人から、アルペンルートの早期開業について、「安全面」から疑問を呈する発言が何度もあったことについて、この記事では一般には伝わらないだろうと、オブザーバーとしてその場にいた私は感じました。

 7月28日、富山県民会館において、ブランド化推進会議の第1回ワーキンググループがあり、富山県観光・交通・地域振興局長が、開会の挨拶をされたようです。議事(発言)録を読めば、立山山荘協同組合理事長と長野自然環境事務所長が、アルペンルートの早期開業と営業時間の拡大について、安全面や自然環境について懸念する真剣な発言があったことがわかります。しかし、7月29日付けの某地元紙での取り扱いは小さいように思えます。

 8月22日、黒部峡谷の阿曽原温泉小屋のご主人が、県の観光戦略課長に対し、「安全対策有っての観光!」という意見書を手渡し、マスコミのインタビューに答える姿を夕方のテレビニュースで見ました。その意見書と同様の文書が立山町長である私にも24日に届きました。氏は元県警山岳警備隊員(13年間)であり、平成5年に県警を退職後、小屋の経営にあたりながら、立山黒部の遭難救助、登山道整備、山小屋組合の役員などを務められています。営業期間の拡大により、雪崩、スノーボーダーやスキーヤーの事故などの危険性の拡大を心配されておられます。

 立山黒部アルペンルートは、近年、団体客を中心に国内客が減少し、それを、雪の大谷のシーズンに集中する、インバウンド(海外客)の増加により、なんとかカバーしているのが現状です。そのため、開業の前倒しを望む声が高まっていますが、かといって、事故があってはすべてが台無しになります。事実、今年は昨年よりも1日前倒しをして、4月15日の全線開通となりましたが、当日は、室堂ターミナルから外に出られないほどの猛吹雪となり、観光客の多くは、残念な思いをされたことでしょう。また、この数日前には、雪の大谷で雪崩があったのだと、道路除雪の担当者からも聞いています。

 立山黒部アルペンルートは、雪の大谷のシーズン(6月下旬まで)だけでなく、他の季節でもいろんな楽しみ方があります。立山ケーブルカーの待ち時間を過ごさなければならない立山駅周辺の環境整備など、国内外の観光客にご満足いただけるような、「地に足を付けた観光地づくり」(某関係会社従業員)を求める声もあります。財政規模の小さい立山町ではありますが、立山町にできること、やってみたいと考えていることを、次号で紹介させていただきます。

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