2018年8月16日町長コラム
日本酒醸造会社の誘致を進めています。 2018年8月16日掲載
8月3日、内閣府地方創生推進事務局の「生産性革命に資する地方創生拠点整備交付金」の交付対象自治体に立山町が選定されました。2年ほど前から、町外在住の方が、田園風景が残る中山間地域で日本酒醸造施設を目指すプロジェクト(計画)がありましたが、資金や酒造免許の課題などにより、難航されているようでした。そこで、立山町が醸造施設に隣接して酒の保管庫等を整備することにより、このプロジェクトが前に進むことになりました。なお、国からの交付金等を除いた立山町の実質負担分については、使用料として15年間で回収させてもらうということで、先方側と覚書を交わす予定です。
立山町には、現在、酒蔵が1社もありません。これまで、県外の方に「清酒『立山』を飲んでいますよ。」と声を掛けられると、私は返答に困ることがありました。
立山町の活性化策を競う「立山町インターカレッジコンペティション」を、今年は12月1日に町元気交流ステーションで開催します。第1回大会(2012年開催)では、明治大学政治経済学部の森下ゼミチームが、「酒造業の復活と地域資源の活用による立山町の活性化」を提案されました。内容は、町と第3セクターの株式会社たてやまが、町中心部で酒蔵を経営するというものでしたが、決勝ラウンドには進めませんでした。このコンペの最優秀賞となった提案事業については、翌年度、町が実施することになっているからです。杜氏の確保や酒造免許など、多くの難題があり、町が取り組むには無理があると思いました。しかし、レポート自体は今、読み返してみても、よく出来ているなと感心します。
近年、海外で和食がブームとなっていますが、これに併せて、日本酒(特に吟醸酒)の需要も増えています。4年前、台湾の和牛焼肉店を視察したところ、若い男女が富山県の某酒造会社の純米大吟醸を飲んでいました。関税等を考えると、現地では相当な値段になっているはずです。
純米大吟醸のようにワインのようなフルーティーな高級酒は、まだまだ伸びると、私は予想しています。先月、署名がなされた「日本・EUとの経済連携協定(EPA)」も追い風です。人口減と食生活の多様化により、米の消費量が減少し、稲作農業が厳しくなっていますが、海外に販路をもつ酒造会社が操業すれば、当然、酒米の需要増が見込めます。また、酒の販売に乗せて、ラ・フランスや立山もものジュースなど、その他の農産物加工品がバイヤーの目に触れることも期待されます。さらに、生産現場も見たいという海外からのお客様もあるかもしれません。来年の夏頃には、町総合公園の近くに、立山町産の柚子やラベンダーを使ったアロマ工房等が竣工されると聞いていますが、これらを組み込んだ観光ルートも検討していきたいと考えています。
更新日:2021年06月01日