2020年4月28日町長コラム

更新日:2021年06月01日

危機にはどれだけ想像力を働かせることができるか 2020年4月28日掲載

 新型コロナウイルス感染症の感染拡大により、東京や大阪だけでなく、ここ富山県、立山町においても、さまざまな影響が出ています。
そのひとつに、学校の臨時休業や営業自粛等により、日中の勤務後に夜間のアルバイトをしながら生計を立ててきたようなひとり親家庭をはじめ、経済的に大変厳しい状況に陥っている方がいらっしゃることは想像に難くありません。(注釈)

 テレビのワイドショーでは、早急に、しかも、まとまったお金を配るよう促しています。但し、市町村は、国のようにお金をつくること(赤字国債を発行し、日本銀行が引き受けること)ができないので、財源には限りがあります。そのため、限られた予算を使って、国の施策では支援が行き届かないところに手当てをする、あるいは、足りないと思われるところに、県や町が独自で上乗せすることはあり得ます。つまり、国や県の予算の詳細を分析してから、市町村が戦略を立てることが一般的です。

 ところが、例の「1世帯30万円給付の迷走」によって、国の補正予算が当初より1週間以上も遅れ、30日に成立する見込みとなっています。そこで、今できる、町の支援策について、4月28日の臨時議会で審議していただくことにしました。国の大型補正予算「特別定額給付金(一人10万円)」に対応する町の予算案は、5月連休後の臨時議会で提案させていただきます。

 私は、新型コロナウイルス感染症の最大の被害者は、子どもたちではないかと思っています。3月の臨時休業に加え、新1年生にいたっては入学式のみ。子どもたちは、この2か月間、学校でほとんど勉強していません。担任の先生とどれだけ言葉を交わしたのでしょうか。5月7日からの学校再開も微妙な情勢となっています。また、たとえ、学校が再開されたとしても、いつ、再び、大きな波がやってきて休業になるかもしれません。本当に可哀そうです。

 各学校の教師が、自らの授業をケーブルテレビやインターネットで配信している自治体があります。立山町でこれを実施するためには、学校(先生)の賛同が前提になります。また、他にも課題があります。立山町ではケーブルテレビ(Net3)の加入率は59%にとどまっています。インターネットについては、Net3での加入率が22.7%しかなく、民間事業者の加入者数を加えても、Wi−Fi(ワイファイ)環境が整っている家庭はさほど多くないと推測しています。

 私は、こうした家庭に対し、臨時休業期間中、LTE通信環境をセットとしたタブレットの貸与を検討しましたが、テレワーク需要等により、SIMカードやポケットWi−Fi(ワイファイ)などの入手に数か月かかると知りました。そこで、タブレットに、学習支援ソフトをインストールして、町立の小中学校の児童生徒に、貸与することにしました。国は、GIGAスクール構想として、学校に一人一台の端末(タブレット)を整備することを求めていますから、計画を前倒しして整備することは、町の財政負担として無駄にはなりません。

 終わりに
 この危機は、有効なワクチンが開発されない限り解消せず、長期戦になるものと覚悟しています。その間、住民と直に接している市町村には、本当に困っている人を見つけ、誰一人置き去りにしないことが求められます。そのためには、「その人はどこにいらっしゃるのか」と、これまでの経験を活かしつつ、想像力を働かせながら走り続けなければなりません。
国政を担う人には、「国民の命を守るための財政支出をどれだけ続けられるのか。結局は、次世代に過度な負担を残すことになるが、将来の国民はこれに耐えられるのか。」未来の国の姿にも想像力を働かせながら、政策決定するという、難しい政治判断が求められています。

(注釈) 以前から、一日に摂る食事の中で、学校給食が最も栄養バランスのとれた食事となっている児童・生徒がいます。町では、2010年度から、経済的に厳しい世帯の児童・生徒の給食費全額(準要保護児童生徒就学援助費)を援助しています。ところが、臨時休業により、その給食を提供できないので、こうした家庭の子供たちのうち、希望者には昼食弁当を届けています。

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