2020年9月18日町長コラム

更新日:2021年06月01日

どこに行かれても結構ですが、自分が生まれ育った家や土地は、整理してからにしてほしい 2020年9月18日掲載

 菅義偉(すがよしひで)新総理が、自民党総裁選挙において、「私の目指す社会像は、自助・共助・公助、そして絆」と語ったことに対し、野党の党首が反発していることを報道で知りました。私はこの発言をテレビで見たとき、菅氏の発言の趣旨とは違うけれど、標題の空き家問題を連想しました。

 近年、役場に寄せられる要望や苦情で多くなっているのは、空き家に関することです。
「建物が朽ち果てて、倒壊しそうで危険だ」
「窓ガラスが割れたままになっている。火事にならないか、心配だ」
「10年以上も空き家のため、害獣が出入りし、スズメバチも巣を作って、近所の人が困っている」などです。
 しかし、役場は、その要望の多くに十分、応えることができていません。
 空き家には様々な事例があります。

  • 所有者が病院や介護施設に入っておられるので、完全な空き家とは言えない。
  • 所有者が行方不明。
  • 所有者(一人住まい)の方が亡くなられたが、親族がいない。あるいは、親族はいるようだが、相続放棄された。

 また、所有者は県外に在住しているが、(大きな)仏壇を移す場所・スペースがないので、売却や解体は考えていないといった、富山県特有の問題もあります。

 国では、隣家や通行人の生命財産に影響を与えるような危険な空き家が多くなったことから、平成26年11月に「空家等対策の推進に関する特別措置法(空家法)」を公布し、翌年5月に施行しました。この法律により、市町村長は危険な空き家(特定空家)に対する立入調査、助言・指導、勧告、命令、行政代執行を行うことができるようになりました。「代執行」とは、町が空き家を所有者に代わり解体することですが、ここに至るまでは、警察や弁護士など有識者等による現地確認・協議をはじめ、様々な手続きを、適切な期間をおいて行わなければなりません。
 また、地価の高い都会とは違い、更地にしても、解体費用を賄えるだけの価格で売却できる見込みがないものがほとんどです。つまり、個人の都合で放置された物件を解体するために、町は税金を使わなければならないのです。不合理そのものです。それでも、住民の安全・安心な生活には代えられないので、この秋、指導・助言等に反応してこなかった、2件の代執行に至りました。(なお、国は、代執行に係る町財政負担の一部を補助する制度を設けています。)

 しかし、空家法を適用できる空き家は要件が厳しく、その対象は限られています。そのため、近隣住民からの苦情は増えるばかりです。町では、個人が空き家を解体する場合の補助金制度を用意はしていますが、反応しない方もおられます。その方が空き家の近くに住んでおられれば、ご近所の方がどんなにか困っておられるか、ご理解いただけるのでしょうが。

 そこで、空き家による周辺への迷惑を防止するために、さらに踏み込んだ対応をしていかねばならないと考えています。例えば、ご近所に迷惑をかけているような空き家があれば、その所有者に指導・勧告ができるような町独自の条例の制定、あるいは、既存の環境美化に関する条例を改定すること。また、解体費用が重荷になっている方も多いので、資産の売却方法などの相談業務ができるように、税務課・農業委員会・建設課・住民課など、課を横断したチームを作り、将来的には、特命担当係の設置も検討してまいります。

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